茨木君は
途々腰に挟んだ矢立から毛筆を取り出して、スケッチ画帖に水墨の写生をされた。
海から下総の銚子の利根の河口へ入って、長い旅を上州の前橋近くまで続けてくる若鮎の群れは、のぼる
途々、淡水にすむ小蝦を好んで餌にするのである。
旦那の牧野は三日にあげず、昼間でも役所の帰り
途に、陸軍一等主計の軍服を着た、逞しい姿を運んで来た。
その
途々のいい風景は、日が暮れてゐたので、見られなかつた。
したがって他人には天国を与えても、——あるいは天国に至る
途を与えても、天国はついにそれらの人々自身のものになることはできない。
だからというて、變化の
途々にある毎月の歌を、試作だとか、未定稿などゝいふ囘避は、決していたしません。
では、現代に於ける思想家の急務として、この堕落を救済する
途を講ずるのには、どうしたらいいのであらうか。
大いなる完成品に至る
途は、小なる完成品あるのみである。
くだんの美人はこの絶景に見とれて、
途々根気よく頬ばつてゐた向日葵の種の殻を吐きだすことも打ち忘れてぼんやりと考へこんでしまつた。