「実はこの村に殺人事件が起こって、有力な犯人と目星をつけていた男を
逮捕してみると、それがどうやら犯人ではなさそうなので、みんなが困ってしまったんだ。
従って一面から言えば、法医学的鑑定には比較的成功したといってよろしく、私の鑑定のみで、犯人が
逮捕されるに至ったという例は決して少くはありませんでした。
而も兇行の現場を被害者の夫人と他にもう二人の証人が目撃していたにも不拘いまだに犯人は
逮捕されない事。
巡査が犯人を
逮捕に行くとなると、向うが抵抗するかも知れないと云ふ不安があるでせうが、軍艦の中ではそんな事は、万々ありません。
計画された殺人では、いわば犯人の頭脳と探偵の頭脳との戦いですから、探偵の頭脳さえ優れておれば、わけなく犯人を
逮捕することが出来ます。
帆村探偵ともあろうものが、ヒョイと立って手を伸ばせば届くような間近かに、何時間も坐っていた殺人犯人をノメノメと
逮捕し損ったのだった。
立ち所に帰する者七百人に及んだが、領内の不穏を察して居た有馬藩では、之が
逮捕に、松田兵右衛門以下二十五人をして、船に乗じて赴かしめた。