種族は
遺伝せられたる野蛮性と動物的特質を自然淘汰にて根絶することによつてのみ向上せらるのである。
重なる不幸でヒステリイが激してゐた所為もあるし、本来辰夫に
遺伝するだけのものを此の人も充分具へてゐたから、話が世の尋常とは余程異つてゐた。
どの
遺伝とも分らないが、魚則は週期的に普通と違つた状態になつて、どんな幻想に追はれるものか飄然と家をとびだしてしまふのだつた。
此は是、曾ては祖々の胸を煽り立てた懐郷心(のすたるぢい)の、間歇
遺伝(あたゐずむ)として、現れたものではなからうか。
しかし、これは、洋行したといふことが「得意らしく」見えた時代の
遺伝的感情である。
雷撃を直接受けたことが無くとも雷を畏怖するのは、恐らく古い世界からの
遺伝で不意識に畏怖するのであらう。
上滝のお父さんの命名なりと言へば、一風変りたる名を好むは
遺伝的趣味の一つなるべし。