ところが辻斬の先生よほどの達人とみえて、男の方はチャリンといふ
鍔音をきいたが、首を切られた感じがないし、首も元通り身体の上に乗つかつてゐる。
刀の
鍔に十字架を用ひた例は切支丹遺物の中にも現存してゐる。
臘虎皮の
鍔なし古帽子を、白い眉尖深々と被って、鼠の羅紗の道行着た、股引を太く白足袋の雪駄穿。
しかし五六人の小天使は
鍔の広い帽子の上に、逆立ちをしたり宙返りをしたり、いろいろの曲芸を演じている。
かの女は悩ましそうに、帽子の
鍔の反りを直して、吐き出すように自分に云った。
武士によって鳴らされた
鍔音が、神魂に徹ったからであった。
参勤交代の大名の行列が通るたびに、店には侍衆がたくさん立たれて、刀や
鍔を買って行ったそうで、とてもよく流行ったそうです。
侍「亭主や、其処の黒糸だか紺糸だか知れんが、あの黒い色の刀柄に南蛮鉄の
鍔が附いた刀は誠に善さそうな品だな、ちょっとお見せ」
工學士は、井桁に組んだ材木の下なる端へ、窮屈に腰を懸けたが、口元に近々と吸つた卷煙草が燃えて、其若々しい横顏と帽子の
鍔廣な裏とを照らした。