誰か、——部屋の中には女のほかにも、丹前を羽織った男が一人、ずっと
離れた畳の上に、英字新聞をひろげたまま、長々と腹這いになっている。
ある晩の十時前に、Nさんはこの家から二三町
離れた、灯の多い町へ氷を買いに行った。
この赤児を孕んだ実は深い山の奥を
離れた後、どういう人の手に拾われたか?——それはいまさら話すまでもあるまい。
人ごみを
離れたベンチの上に雑誌などを読んでいることがある。
半之丞はちょうど一里ばかり
離れた「か」の字村のある家へ建前か何かに行っていました。
そこで彼は敵打の一行が熊本の城下を
離れた夜、とうとう一封の書を家に遺して、彼等の後を慕うべく、双親にも告げず家出をした。
彼はしばらくその水面を目測しているらしかったが、急に二三歩汀を去ると、まるで石投げを
離れた石のように、勢いよくそこを飛び越えようとした。
」芭蕉の説に従へば、七部集の監修をしたのは名聞を
離れた仕業である。
その外にまだ弟が二人、——次男は縁家の穀屋へ養子に行き、三男は五六里
離れた町の、大きい造り酒屋に勤めてゐた。
もし夜寒が甚しければ、少し
離れた瓦斯煖炉にも赤々と火が動いてゐる。