向って左の方に、ひときわ高くあたかも船橋のような屋上
露台を構えたのが主館であろう。
駱駝に乗つてピラミツドの周辺を逍遥しての帰るさ立寄つたホテルの
露台の籐椅子にもたれて私は埃及の空に輝く星々を心ゆくまで眺めることが出来た。
彼女は、今、また、その手紙を書いた時のやうな熱心さで、
露台の手摺に寄りかゝつてゐる。
そこにこそ俺の恋人にふさはしい、手の痩た女や、眼の大きい女達が数十人生活をしてゐた、硝子張の
露台の中を恋人達は、水族館の魚のやうにひら/\静かに泳いでゐた。
ある蒸し暑い雨もよいの夜、舞台監督のT君は、帝劇の
露台に佇みながら、炭酸水のコップを片手に詩人のダンチェンコと話していた。
更紗を洩れる灯、昼間は気付かなかった
露台の影絵、パタンやブルマンの喧囂たる取引は、さながら、往時バグダッドの繁栄そのものである。
裏通りの四五軒目の、玄関とも、
露台ともつかないような入口の作りつけられている家の前で、ウォルコフは、ひらりと身がるく馬からおりた。
そして最後に建築物に関しても、松江はその窓と壁と
露台とをより美しくながめしむべき大いなる天恵——ヴェネティアをしてヴェネティアたらしむる水を有している。