さういふ場合はまゝあつたが、未来にどうといふ当のない身は磊落で
鞘当ても起らない。
「いざ」と同時に十三郎、
鞘ばしらせたが中段に付けた。
語を換へて云へば、六五歩と角道を通す手を知らないで上手と二枚落を指すことは、槍の
鞘を払はないで突き合つてゐるやうなものである。
鞘だけでも紀念にとつて置きたいがと相談してみたが許されなかつた。
誰でもその店へ行って筆を買いますと、娘達がきっとその穂を舐めて、舌の先で毛を揃えて、
鞘に入れて渡してくれるんです。
ぎろり目を光らしながら、音もなく蝋色
鞘を腰にさして、静かにはかまのちりを払っていたとみえたが、すっくと立つや、同時に鋭い声がかかりました。
所々剥げた蝋
鞘の大小を見栄もなくグッタリと落とし差しにして、長く曳いた裾で踵を隠し泳ぐようにスースーと歩いて来る。
が、相手は誰かと思ふと、朱
鞘の大小を閂差しに差した身の丈抜群の侍だつた。