此系統はます・もすの範囲から離れようとする意識を特に持つてゐるらしくて、なし・なんし・のんし・なもなどと、
音韻が特殊化してゐる。
(A)は無意識的に
音韻の変化したものであるが、(B)は故意に文法的属性を形にあらはしてそれに接尾語を呼んだものである。
大抵やはり将然段から出たものとして、よそほしとかおもほすとかは
音韻の転訛であるとやうにとかれてゐる。
同時に、未開の邑落生活では、言語の生滅・
音韻の転訛が甚しい為に、叙事詩の中の用語の死語となる事が速い。
從來の語原説では「稀に來る人」の意義から、珍客の意を含んで、まれびとと言うたものとし、其
音韻變化が、まらひと・まらうどとなつたものと考へて來てゐる。