実に見渡す限り磊々塁々たる石塊の山野のみで、聞ゆるものは鳥の鳴く音すらなく満目ただ荒涼、宛然話しに聞いている
黄泉の国を目のあたり見る心地である。
大空よりする神も、
黄泉よりする死霊も、幽冥界の所属といふ点では一つで、是を招き寄せるには、必目標を高くせねばならぬと考へてゐたものと見える。
黄泉の国に愛妻を見棄てゝ、遁れ帰られたいざなぎの命は、後から追ひすがる
黄泉醜女をはらふ為に、桃の実を三つとりちぎつて、待ち受けて、投げつけた。
(一層泣き声を立てながら)わたしは
黄泉の使でも、もう少し優しいと思っていました。
この桃の枝は雲の上にひろがり、この桃の根は大地の底の
黄泉の国にさえ及んでいた。
第一の妃が御なくなりなすつたのに、十一人しか
黄泉の御供を御させ申さないと云ふ法があらうか? たつた皆で十一人!」