従って誰しもが前々よりややもするといいたかった言葉であって、すでにすでに平凡化し、
黴が生え、今さらのごとくそれをいうと野暮に聞こえるほどのものである。
年中敷きっぱなした蒲団をめくると、青い
黴がべったりと畳にへばりついていた。
われ/\は骨董品に籠つてゐる、幾百年の
黴の匂ひを懐しまうとする者ではない。
百花開き、樹海は拡がり、
黴類は恐ろしく生成し、地球全体は緑で蔽われ人々はたらふく野菜や果実をとって悦ぶ。
脂肪が腐つてひとりでに出来た割れ目に咲く、あの
黴の華の何と若々しく妖艶な緑であらう。
低いアーチ型の扉をはいると、そこには世間によく見うける種じゅの
黴くさい、ほこりだらけの古道具がならべてあった。
夏は、麦が熟す時分から、例の雨期へはいるので、小さな衣裳や仮面にも、知らないうちに
黴がはえる。
その低い、朽つて白く
黴の生えた窓庇とすれ/\に、育ちのわるい梧桐がひよろ/\と植つてゐる。
わたしの頭は醸された酒のやうに
黴の花をはねのける。
その低い、朽つて白く
黴の生えた窓庇とすれ/\に、育ちのわるい梧桐がひよろ/\と植つてゐる。