然し、道を迷ったということが何かこう一種の因縁のように思われて来て、私の
あこがれて居る夢幻の世界へ踏み入る第一歩であるような気がした。
肉体的とも精神的とも分野をつき止めにくい
あこがれが、低気圧の渦のように、自分の喉頭のうしろの辺に鬱して来て、しっきりなしに自分に渇きを覚えさせた。
私は猿飛佐助が一番好きであったが、剣術使いの方では主人公ではなしに馬庭念流という流派に
あこがれていたのである。
気立てのよい娘で、ひねくれた所はなく、たゞ愛情に非常に
あこがれてゐた。
彼はともかく、
あこがれていたばかりでなく、実際にやりはじめたのである。
「それにね、当時の鎌倉というものは新興都市には違いないが、何といっても田舎で文化に就ては何かと京都を
あこがれている。
ふと、今しがた自分が覗いた生々として落ちついた井の底の世界を、蝙蝠もまた、
あこがれてゐるのではあるまいか——
然し非常に漠然たる
あこがれで、求道のきびしさにノスタルジイのようなものを感じていたのである。
父上、父上ははじめ望み給はざりしかども、児は遂にその生れたるところに
あこがれて、わかき日をかくは歌ひつづけ候ひぬ。
朝から晩まで何とも知れぬものに
あこがれている心持は、ただ詩を作るということによっていくぶん発表の路を得ていた。