而して身も霊も顫へながらなほ新しい官能の刺戟を求めたかの時のみづみづしい心を
あちらこちらと拾ふてあるくのが何時となしに私の習慣となつた。
この城は古風な作りで伯爵の居間と、子供部屋とは大きな広間でへだてられ、
あちらこちら往来するにはどうしてもその広間を通らねばならなかった。
立ち並ぶそれらの大樹の根本を塞ぐ灌木の茂みを、くぐりくぐって
あちらこちらに栗鼠や白雉子が怪訝な顔を現わす。
そして、その真白い木目に、血に汚れた手形を付けながら、引出しを
あちらこちらと探し始めた。
刑法の条文などを
あちらこちら参考にしながら、かなり工夫を凝らしてくれたのである。
そうして、物さびしい粗末な部屋の中を
あちらこちらと見まわした。
尾生は水際から歩をめぐらせて、今度は広くもない洲の上を、
あちらこちらと歩きながら、おもむろに暮色を加えて行く、あたりの静かさに耳を傾けた。
背景に緑を斑入れにして灰色の河原の石の上に、
あちらこちらに干されたる斑らに鮮かな色の布。
そうして
あちらこちらと躍りながら飛びまわりたくなるのです」
それは、大ニューヨーク州の奥深く、
あちらこちらにあるオランダ人の住む辺鄙な渓谷のなかにあり、ここでは人口も風俗習慣もかわらないのだ。