○「訣れの挨拶の
お辞儀をしてしまってから、また立話をする。
この間も誰かと二三人づれで、学校のお師匠さんが、内の前を通って、私の顔を見たから、丁寧に
お辞儀をすると、おや、といったきりで、橋銭を置かないで行ってしまった。
名古屋までのを一枚……」と云つて紙幣を差出し、帽子を軽く脱いで
お辞儀をした。
演出者なるものの指図を受けなければ、調子ひとつ張れず、
お辞儀ひとつできないといふ有様では、芝居が面白くなる筈はないのである。
然しそれでも帰るときには何べんも何べんも
お辞儀した。
そして其時自分に
お辞儀をしかけた若い座附作者を眺めて、「君なぞはまだ解るまいが、浅草は天気模様によつてすぐ百二百は違ふんだからね。
助「手前入ると突然其の口上を云って、
お辞儀も挨拶もしなかったろう」