生活の響、瀬の音、木の葉ずれ、そんなものが旅に出た當初の鮮
かさを持つて彼に歸つて來た。
北国の六月は晩春の物悩ましさと初夏の爽
かさとをこき混ぜた陽気である。
と帆村は皮肉を云ったが、でも私が入ってきたときよりもずっと朗
かさを加えたのだった。
それは初冬ながら、もはや早春が訪れでもしたような爽
かさであった。
かさをさしかけられて、はじらわしげに駕籠から出てきたのは、雪娘ではないかと思われるほどにも色の白い十八、九のすばらしい花嫁でした。
勿論僕はその人の本に——第一どんな本を出したの
かさへ不明である——序文など書いた憶えはなかつた。
長屋の背後の二すじの連山には、茅ばかりが、
かさ/\と生い茂って、昔の巨大な松の樹は、虫歯のように立ったまゝ点々と朽ちていた。
一つ半鉦の遠あかり、其も夢に消えて、曉の霜に置き
かさぬる灰色の雲、新しき障子を壓す。