僕は飲みものを註文した後も、
つらつら谷崎氏の喉もとに燃えたロマンティシズムの烽火を眺めてゐた。
つらつら報知新聞の現在の社業をみると、全く昔日の俤がない。
と申すはこの頃ふとここへ参って、予も人並に双紙を一つ綴ろうと思い立ったが、
つらつら独り考えて見れば、生憎予はこれと云うて、筆にするほどの話も知らぬ。
けれども、
つらつら考へて見れば、何も女が屁をしたからと云つて、坊主にまでなるには当りさうもない。
つらつら按ずるにわが俳諧修業は「ホトトギス」の厄介にもなれば、「海紅」の世話にもなり、宛然たる五目流の早じこみと言ふべし。
自分は彼が吹き出づる一高一低、絶えんとして絶えざる哀調を聴きながらも、
つらつら彼の姿を看た。