野良猫のやうに飯を食ひ、
なまじひに人間なみの過分に多感な飯の食ひ方をしないだけでも幸せだ。
密偵というものは、
なまじ腕に覚えがあると出来る辛抱も破れがちなものさ。
なまじ城持ちじゃ、国持ちじゃと手枷首枷があればこそ思い通りに振舞うことも出来ぬのじゃ。
なれども、僧都が身は、こうした墨染の暗夜こそ可けれ、
なまじ緋の法衣など絡おうなら、ずぶ濡の提灯じゃ、戸惑をした※の魚じゃなどと申そう。
客は、
なまじ自分の他に、離室に老人夫婦ばかりと聞いただけに、廊下でいきなり、女の顔の白鷺に擦違ったように吃驚した。
政治の理想とする所が、今と昔とで変つて来て居るのであるから、思想方面には
なまじひの参与は、ない方がよいかも知れぬ。
雪子の父は
なまじなよその夫人よりY家の主人を非常に厳格な躾け正しい人と信じてゐたから……
老人の
なまじひに壮者を学ぶを危めるは東の諺、鉄釘至剛なるも至軟の物を如何ともする能はざるを歎ぜるは西の語。
なまじ外道の呻くような音をひびかしたばかりに、山中がこんな恐ろしい思いをせねばならぬわ——
なまじ紹介状があるだけに、喧嘩面で、宿を替えるとも言われない。