少くとも味方は、赤い筋のはいった軍帽と、やはり赤い肋骨のある軍服とが見えると同時に、誰からともなく一度に軍刀を
ひき抜いて、咄嗟に馬の頭をその方へ立て直した。
それを両腕鮮血にまみれながら、鋸でごそごそ
ひき切る。
目をとめてよく見ると、半開きの白ばらの花のかげ——肥料をやりたての根本の赤土の上に生れたばかりの小さい
ひきがえるがよちよちしている。
これが大事な胚子となって、あのすばらしい世界革命が
ひき起こされたのだ。
唯、その文章の調子に至つては、殆原文の調子をそつくりその儘、
ひき写したと云つても差支へない。
ぢやによつて沖を通る廻船さへ、時ならぬ潮のさし
ひきに漂はされて、水夫楫取の慌てふためく事もおぢやつたと申し伝へた。
当主はそれから一年余り後、夜伽の妻に守られながら、蚊帳の中に息を
ひきとつた。
大きな汚い風呂敷包と一緒に、章魚のように頭ばかり大きい赤坊をおぶった彼れの妻は、少し跛脚を
ひきながら三、四間も離れてその跡からとぼとぼとついて行った。