なぜか、房枝は、しずかな夕暮の空を、
ひとりぼっちで眺めるのがたまらなく好きだ。
「どうして、こんなところに、
ひとりぼっちでいるようになったのか。
まったく夕方なんぞ、列車の車掌室から、
ひとりぼっちで外をながめていると、泣きたくも泣けないような気もちだった。
見ると、そこには、人のよさそうなおばあさんが、
ひとりぼっちですわっていて、つむで糸をつむいでいました。
それでも、こんなにして世の中からまるで見すてられてしまっているので、この子は、やさしい神さまのお力にだけすがって、
ひとりぼっち、野原の上をあるいて行きました。
ふたりともこの世に頼るものなく取り残された
ひとりぼっち同志ですから、その仲のいいことは言うまでもありません。