三頭も四頭も一斉に吠え立てるのは、丁ど前途の浜際に、また人家が七八軒、浴場、荒物屋など
一廓になって居るそのあたり。
特に桃の花を真先に挙げたのは、むかしこの
一廓は桃の組といった組屋敷だった、と聞くからである。
戸外の広場の
一廓、総湯の前には、火の見の階子が、高く初冬の空を抽いて、そこに、うら枯れつつも、大樹の柳の、しっとりと静に枝垂れたのは、「火事なんかありません。
凱旋門は申すまでもなく、
一廓数百金を以て建られ候。
漸く眼鏡からのぞける範囲はといへば、こんど七十年ぶりに区名が変つていよいよなくなつてしまつた、日本橋、京橋、あるひは下谷、浅草などといふ
一廓に限られるだらう。
つまりあの
一廓は、院長が作った絶対不侵の秘密境だったのだよ」
この建物の全體の構造から來るのであらうか、この建物の
一廓に起るすべての物音は自然に中央に向つて集まるやうに感ぜられるのであつた。
三頭も四頭も一齊に吠え立てるのは、丁ど前途の濱際に、また人家が七八軒、浴場、荒物屋など
一廓になつて居る其あたり。
この建物の全体の構造から来るのであろうか、この建物の
一廓に起るすべての物音は自然に中央に向って集まるように感ぜられるのであった。