そのうちに三軒廻って一軒しか酒がなかったり、何軒廻っても
一滴もありつけないようなことになり、そのうち、焼けてしまった。
文学としての愛着でなしに、私の流された血の
一滴として、私には、せつなく、なつかしい小説であるが、然し、見るのも、いやなのだ。
一滴の水をのんでも、その結果をジッとまつような不安な気分が、自然身についている。
皮膚には
一滴の血の気もなく下瞼がブクリと膨れて垂れ下り、大きな眼は乾魚のように光を失っていた。
元来体の弱かった母は一粒種の彼を産んだ後さえ、
一滴の乳も与えなかった。
無智愚昧の衆生に対する、海よりも深い憐憫の情はその青紺色の目の中にも
一滴の涙さえ浮べさせたのである。
津藤は酒を
一滴も飲まないが、禅超は寧、大酒家である。
夕闇の風、軽ろく雨を吹けば
一滴二滴、面を払うを三人は心地よげに受けてよもやまの話に入りぬ。
そしてもはや流すべき
一滴の血もなくなったとき、光栄ある日本は地球上から消えてなくなるだろう。
どこもかしこも、炎天のほこりを浴びたこの町の辻で、わずかに
一滴の湿りを点じたものがあるとすれば、それはこの蛇の切れ口から出た、なまぐさい腐れ水ばかりであろう。