彼はただズボンのポケットの底に六十何銭しか金のないことを
不愉快に思っていたのである。
それは遠い昔、たった一つしたかの女のいのちがけの、辛い悲しい恋物語を、ふざけた浮気筋や、出世の近道の男釣りの経歴と一緒に噂される心外な
不愉快さに同じだった。
そして麻川氏がX夫人に対する態度を何気なく見て居ると、葉子はだんだん
不愉快になって来た。
——恁うした
不愉快な感じに襲はれる毎に、私は何の理由もなき怒り——何処へも持つて行き処の無い怒を覚える。
また電報配達夫の走っているのを見ると
不愉快になった。
戦争は
不愉快で、戦争のために、多数の人間が生命を落さなければならない。
青い眼がねで何かを見るのが、うっとうしく、じれったくって、悲しくなるほど
不愉快でした。
混成酒ばかり飲みます、この
不愉快な東京にいなければならぬ不幸な運命のおたがいに取りては、ホールほどうれしい所はないのである。