ところが人間という物質としては再びこの世に戻って来たが、かつての優しい
心根は天に昇ってまた帰すすべもなかった。
娘は女学校の四年生だつたが、専ら定評ある不良少女で、尤も僕はその
心根却々見どころのある娘だと思つてゐたから、娘の方も信用してゐた。
哀しみを胸に抱きながら、七尺の屏風も躍らばよも踰えざらん、と歌い弾じたお軽の奥ゆかしい
心根。
わたくしは、税所敦子女史の、この至高至純の美しい
心根を画布に写しながら、いく度ひとしれず泪をもよおしたか判らなかった。
なれど「れぷろぼす」は、性得
心根のやさしいものでおぢやれば、山ずまひの杣猟夫は元より、往来の旅人にも害を加へたと申す事はおりない。
何卒、私
心根を不憫と思召され、此儀のみは、御容赦下され度候。
私と別れることよりも、私が京都へ行くことに決心したその
心根を察して、いぢらしくなつたのであらう、父はその大きな筋張つた、節くれ立つた手で顔を掩うた。