進歩は進歩だらうが、ダリヤのやうになつた菊よりは、
本性の気味を強く把握してゐるものを得て見たい。
尊貴なる福音の使者たる人にこのやうな眼が有りうるものかと小左衛門は我目を疑る始末であつたが、思へば男の魂は二元で、この陰惨な眼が彼の偽らぬ
本性である。
この先生はつまりまともな仕事が出来ない
本性なので、病院へ務めるにも松沢病院などゝいふ当り前のところは気が向かない。
空襲の激化につれて一皮々々
本性がむかれてきて、しまひには羞恥もなくハッキリそれを言ひきるやうになり、彼等の目附は変にギラ/\して悪魔的になつてきた。
とはいへ、今日に於ては、歪められてゐるのは男とても同断であり、要するに男女の心情の
本性が風習によつて歪められてゐる。
そのうちに土や石の下から出てくることに変りはなくとも、古代美術に凝りだしたのはようやく
本性に目覚めたと云えよう。
却つて其の度毎に彼れの純な
本性は益々輝いて來る——さういふ人こそ眞の天才である。
東の空にはけれどもここばかりは拗者の
本性を現わした箱根山が、どこから吹き寄せたか薄霧の枕屏風を立てこめて、黒い姿を隠したまま夕暗の中へ陥ちこんで行く。
だから、かれはきょうの催しがあっても、むろん最初から見物席のすみに小さくなっていて、そのあだ名のとおりしじゅう黙り屋の
本性を発揮していたのでした。
結婚の儀式がすむとまもなく、こんどのおかあさんは、さっそくいじわるの
本性をさらけ出しました。