この沈鬱は氏が
生来持つ現世に対する虚無思想からだ、と氏はいつも申します。
一は
生来の高徳であるが、一は末世の才子にすぎない」
女は小さな酒場の主人で妾であつたが、
生来の淫奔で、ちよつとでも気に入ると、どの客とでも関係してゐた女であつた。
十年余の長い時間がありながら彼のやり方は如何にも露骨で不手際で、まつたく初犯の手口であり、犯罪の常習者、あるひは
生来の犯罪者の手口ではなかつたのである。
凡そ自分の性情にうらはらな習慣や伝統を、恰も
生来の希願のように背負わなければならないのである。
ところが、このわたくしは、そういう賢明人種とはちがい、至って
生来無慾恬淡の方であるからして、なにごとも構わずぶちまけて、一向に憚らない次第である。
生来あまり健康でない法水は、あの霙の払暁に起った事件の疲労から、全然恢復するまでになっていなかった。
が、
生来の無精のために埃やインクにまみれたまま、時には「本是山中人」さへ逆さまになつてゐるのである。
しかし
生来の烈しい気性のためか、この発作がヒステリーに変わって、泣き崩れて理性を失うというような所はなかった。
生来のやさしい魂はすぐに私の体から飛び去ったようであった。