革具と靴の店を出してゐる父は、
不憫な息子のために、食ふ心配だけはさせないつもりでゐたから、彼は比較的のんきに、自分の好きな道を撰ぶことができた。
いかなる条件の下にあつても、妻が先に世を去るということは、夫にとつて、たゞ「
不憫」という一語以外に、その切ない感情を説明することはできぬように思う。
しかたがねえ、
不憫をたれてやるから、早いとこ急所を話してみな」
人情としての
不憫さはあるつもりなんだが、おせいを何うして見たところで僕の誇りとなる筈はない。
それにしても和主は
不憫なが、何にも知らずこんな山へ迷い込んで来たばかりに、遁れることも出来ない呪いの網にかかってしまったのだ。
何卒、私心根を
不憫と思召され、此儀のみは、御容赦下され度候。
雨のそぼ降る日など、淋しき家に幸助一人をのこしおくは
不憫なりとて、客とともに舟に乗せゆけば、人々哀れがりぬ。
こんなにまで露骨に未熟な自分を投げ出さなければならぬ仕事がほかにあらうか? 思へば
不憫なことである。