経典を読誦し解脱するを得るの時来らば、父が二十
余年間為せし如く、誦住三昧を以て生活の根本義とせよ。
国境を守って、松倉家からの注進を聞きながら、脾肉の嘆を洩しているうちに、十
余日が経った。
つまり二千
余年の歴史は眇たる一クレオパトラの鼻の如何に依ったのではない。
その自分がこれらの
余戯に耽り乍ら、とにかく卒業する事の出来たのは、一に同大学諸教授の雅量に負う所が少くない。
然りと雖も、其一半は兀兀三十
余年の間、文学三昧に精進したる先生の勇猛に帰せざる可からず。
三輛の馬車は相隔つる一町ばかり、
余の馬車は殿に居たので前に進む馬車の一高一低、凸凹多き道を走つて行く様が能く見える。
流石に曠世の驕児入道相国が、六十
余州の春をして、六波羅の朱門に漲らしめたる、平門の栄華も、定命の外に出づべからず。
彼が家の横なる松、今は幅広き道路のかたわらに立ちて夏は涼しき蔭を旅人に借せど十
余年の昔は沖より波寄せておりおりその根方を洗いぬ。