越前の府、武生の、
侘しい旅宿の、雪に埋れた軒を離れて、二町ばかりも進んだ時、吹雪に行悩みながら、私は——そう思いました。
と寂しい
侘しい唄の声——雪も、小児が爺婆に化けました。
場末の湿地で、藁屋の
侘しい処だから、塘堤一杯の月影も、破窓をさす貧い台所の棚の明るい趣がある。
わびしさ……
侘しいと言ふは、寂しさも通越し、心細さもあきらめ氣味の、げつそりと身にしむ思の、大方、かうした時の事であらう。
越前の府、武生の、
侘しい旅宿の、雪に埋れた軒を離れて、二町ばかりも進んだ時、吹雪に行惱みながら、私は——然う思ひました。
と寂しい
侘しい唄の聲——雪も、小兒が爺婆に化けました。