その血は左の心臓部の
傷口から流れだしたもので、
傷口の模様から見て、鋭利な短刀をもって刺されたらしかった。
そして間もなく郵便屋に抱き起こされて胸の
傷口へハンカチを押当られたままもうガックリなっている女を見ると、洋服の男は飛びかかるようにして、
——あの
傷口にあつた血は……私は眠りに落ちるとき、ひとりごとを言つてゐました。
そして鳥を持上げて
傷口を調べ、ほんとうにこれつぱちか出ないんだわと、また膝へ載せて、奇麗な鳥だわ、それにちつとも怖くないのねと男の顔を媚るやうに見上げた。
傍らで風船をついてゐた少女が、その風船を僕の額の
傷口に押しあてて、なんとか優しいことを云つてくれたのを覚えてゐる。
負傷した同年兵たちの
傷口は、彼が見るたびによくなっていた。
然し、
傷口の中に羽蟻が二匹捲き込まれている所を見ると、絶命は八時から九時迄の間と云えるだろう。