わがころも夜
具に仕換へてつつましく掻い寝てけり月夜夜ざくら
その勢にこれ見そなはせ、尾の先少し齧み取られて、痛きこと太しく、生れも付かぬ不
具にされたり。
が、この朝だけは、自分が不
具になったという悔恨は、少しも残っていなかった。
しかし、親の身の誇りや満足のためなら、決してむす子はその道
具になるには及ばない。
老人はしきりに虫の講釈をはじめて、今日では殆ど子供の玩
具にしかならないような一匹三銭ぐらいの蟋蟀を大いに讃美していた。
如何に精巧なる絵具も、如何に精巧に配置されたその絵
具によつての構図も、到底自然が専有する色彩の美を摩して聳ゆることは出来ない。
仕事のできる間は食わしても置くが、病気か不
具にでもなれば、容赦もなく捨てて顧みない。
子供が玩
具にしたあとの針金のようだった、がところどころだけまぶゆくギラギラと光っていた。