笑を含んで、クウクウと吹き鳴らすと、コロコロと拍子を揃えて、近づいただけ音を高く、調子が
冴えてカタカタカタ!
いつもいつも日中はどんよりと曇りつづけ、それが夜になると皮肉にもカラリと晴れて、月や星が、
冴えた紺色の夜空に冷く輝きはじめる。
よくは呑みこめなかったけれど、やっぱり頭脳の
冴えた辻永だと感心した。
甚兵衛は中段で受け止めたが、相手の腕の
冴えていることはその一撃が十分に証明した。
去年の春の夜、——と云ってもまだ風の寒い、月の
冴えた夜の九時ごろ、保吉は三人の友だちと、魚河岸の往来を歩いていた。
何という
冴えた表現であろうと、自分はこの数行を読む度に感嘆する。
落葉が降り留っている井戸端の漆喰へ、洗面のとき吐く痰は、黄緑色からにぶい血の色を出すようになり、時にそれは驚くほど鮮かな紅に
冴えた。
いつの間にか雲一ひらもなく澄みわたった空の高みに、細々とした新月が、置き忘れられた光のように
冴えていた。