そこに住む
冷然たる住人はきつとこいつが芸術家だと思つた。
そこに住む
冷然たる住人はきつとこいつが芸術家だと思つた。
十八歳の私は白眼道人なにがしの妻女の言葉に
冷然としてええと応じることもできたのですが、今日もなほそのやうに冷静に応じうるや否やは分かりません。
バタバタと倒れ去る十六名の姿の中で、
冷然と注射器を処理し、札束をねじこみ、靴をはき、おそらく腕章をはずして立ち去る犯人の姿。
それ故に又、かゝる工夫の悪アガキが幼稚であっても、
冷然白眼視の悟り屋よりも、生きているのだ。
私の冷めたい心が、女の虚しい激情を
冷然と見すくめてゐた。
が、こんな時、一座を
冷然と見下すように座っているのは良沢だった。
むしろ、
冷然として、煙管を啣えたり、鼻毛をぬいたりしながら、莫迦にしたような眼で、舞台の上に周旋する鼠の役者を眺めている。
彼等は、五位に対すると、殆ど、子供らしい無意味な悪意を、
冷然とした表情の後に隠して、何を云ふのでも、手真似だけで用を足した。
しかし薄眼になつた猫はやはり背中を円くした儘、一切の秘密を知つてゐるやうに、
冷然と坐つてゐるばかりだつた。