黙つて、黙つてゐるために、かへつて、二人とも
切ない歓喜の哀愁がふかく胸をとぢたので御座いますね。
苦しく
切ない稲妻がもぬけの私の身体の中を駆け廻り、ところ/″\皮膚を徹して無理な放電をするから痛い粟粒が立ちます。
青春再びかえらず、とはひどく綺麗な話だけれども、青春永遠に去らず、とは
切ない話である。
悲しい声も能くは立てず、うつろな眼は意味無く動くまでで、鳥は篠むらや草むらに首を突込み、ただ暁の天を
切ない心に待焦るるであろう。
併し、あゝした
切ない気持ちをぢつと持つて歩いて居ると言ふことは、此上ない張りつめたものである。
まずつきあたりに空色の壁、それから真新しい何畳かの畳、最後にこちらへ後を見せた、西洋髪の女が一人、——それが皆冷やかな光の中に、
切ないほどはっきり映っている。
しまいには、畳の縁の交叉した角や、天井の四隅までが、丁度刃物を見つめている時のような
切ない神経の緊張を、感じさせるようになった。
かの女は、潜り門に近い洋館のポーチに片肘を凭せて、そのままむす子にかかわる問題を反芻する
切ない楽しみに浸り込んだ。
私はなほ何らかの新らしい形式の上にその
切ないほど怪しかつた感覺の負債が充分に償ひ得べき何らかの新らしい機會の來らんことを待つ。