奥様は大変お嘆きになって、お眼を真っ赤に泣きはらしながら、お父様と御一緒にお帰りになるし、旦那様は、なにか大変不機嫌で、ろくに口をお
利きにならないという始末。
しかし、絶壁下にひろがる悪魔の尿溜の湿林は濃稠な蒸気に覆われてまったく見通しが
利きません。
「若殿の将棋桂馬の先が
利き」といふ川柳があるが、それと同じやうに玄人相手のときは、勝敗とも本当でないやうに考へられる。
最上の湯は、其ばかりか、温泉その物が、
利きそうな気をさせる。
「わたくしは始終陸へ出て、人間やいろいろの陸の獣たちの話も聞いておりますが、何でも猿の生き肝が、こういう時にはいちばん
利きめがあるそうでございます。
さて太子はお生まれになって四月めには、もうずんずんお口をお
利きになりました。
それから猿の一番好い性質は、生
利きにも猿を滑稽なものに言ひ做してゐる人間よりも、遙に残酷でないことである。
画道にて悟入せし所も、三十一文字の上には一向
利き目がないやうなり。
お園は子供を見て微笑んだが、口を
利きはしなかった。