▲余の住ってる町は以前は組屋敷らしい狭い通りで、多くは小さい月給取の所謂
勤人ばかりの軒並であった。
重い本を棚から下しますのも、精霊の名を連ねた大きな画巻を其隅から擡げますのも、其間は純一な敬虔な心になつて居りますのも、亦皆私の
勤でございます。
この目覚しいのを見て、話の主人公となったのは、大学病院の内科に
勤むる、学問と、手腕を世に知らるる、最近留学して帰朝した秦宗吉氏である。
若し、未だ
勤苦せざるに、先づ休養を名として釣遊に耽らば、身を誤り家を破るの基、酒色の害と何ぞ択ばん。
「日来武に誇り、本所を無する権門高家の武士共いつしか諸庭奉公人と成、或は軽軒香車の後に走り、或は青侍格
勤の前に跪く。
旅館の主人、馬を勧め、剛力を勧め、蓆を勧め、編笠を
勤む、皆之を卻く、この極楽の山、只一本の金剛杖にて足れりと広舌して、朝まだき裾野を往く。
が、少くとも女性の読者に多少の魅力のあることは決して「
勤人」や「海上日記」や「葡萄酒」の後には落ちない筈である。
坦々たる古道の尽くるあたり、荊棘路を塞ぎたる原野に対て、これが開拓を
勤むる勇猛の徒を貶す者は怯に非らずむば惰なり。
本篇引用の書にいたりては、謹みて中外古今碩學がたまものを拜す、實に皆その辛
勤の餘澤なり、家に藏せる父祖が遺著遺書のめぐみ、また少からず。