今日来て見ると、Kさんの書卓の上に、ついぞ見なれぬ褐色のきたない三六版ほどの
厚い書物が載っていた。
それから余り門と離れていない、庇に
厚い苔の乾いた面会人控室へつれて行って貰った。
僕はやはり木枕をしたまま、
厚い渋紙の表紙をかけた「大久保武蔵鐙」を読んでいました。
それからまた嚢の口へ、
厚い糸の敷物を編んで、自分はその上に座を占めながら、さらにもう一天井、紗のような幕を張り渡した。
こんにちでは
厚い硝子の容れ物に飼って、日あたりのいいところに出しておけば、冬でも立派に生きています。
と
厚い童男のやうな唇にいくらか微笑をふくんでいひ出した程度の醉ひの状態が一番、この大詩人の詩的面目の躍如たる表現に適してゐることを私には斷言出來ます。
「何を読んでいるのだ」といいながら見ると、洋綴の
厚い本である。
さうしてその羽根楊子へ湯呑の水をひたしながら、
厚い膝をにじらせて、そつと今はの師匠の顔をのぞきこんだ。
老婆は、こう言って、わるがしこそうに、じろじろ、左右をみまわしたが、人通りのないのに安心したのかまた、
厚いくちびるをちょいとなめて、