ダイヤが欲しいのよ、と、
口先にまで出かかったのを、ぐっと押えて、陽子は唇を噛んだ。
もう電車がなくなる時刻だな、とか、家へ帰れなくなるなア、などと
口先では言ひながら、庄吉は落着き払つてゐて、帰れなくなることを予期してゐる様子であつた。
田舎の模範少年などゝいふものは
口先だけ達者で、規律だけ猿真似で軍人式に達者でも、自我の魂の訓練といふものがない。
例えば他人の持っている金を
口先一つで自分のものにするというような人間が沢山居るのである。
われわれの前には、いまや、
口先だけではすまされぬ「演劇の近代化」といふ問題が、真の意味をひつさげて登場して来た観がある。
どこへいっても、その男は、
口先が上手でありました。
これなどまだ小心で正直な方だが
口先のうまい奴は、これまでの取りつけの米屋に従来儲けさしているんだからということを笠にきて外米入らずを持って来させる。
これまでの県会議員や、国会議員が
口先で、政策とか、なんとか、うまいことを並べても、それは、その場限りのおざなりであることを彼等は十分知りすぎている。
それは
口先ばかりでなく彼の頭の中にしかと根城を据えているのだ。