時計も金も一つになつて、奈良島と云ふ信号兵の帽子の
箱の中に、あつたのです。
たまたまこの家の前を通りかかった、髪の毛の長い画学生は細長い絵の具
箱を小脇にしたまま、同じ金鈕の制服を着たもう一人の画学生にこう言ったりした。
彼女は華奢な画の具
箱を小脇に、篤介と同じ研究所へ毎日せっせと通い出した。
緑いろの鳥打帽をかぶった、薄い痘痕のある物売りはいつもただつまらなそうに、頸へ吊った
箱の中の新聞だのキャラメルだのを眺めている。
まっすぐに梯子を下りた所が、ぎっしり右左の棚の上に、メリヤス類のボオル
箱を並べた、手広い店になっている。
いや、話していないどころか、あたかも蟹は穴の中に、臼は台所の土間の隅に、蜂は軒先の蜂の巣に、卵は籾殻の
箱の中に、太平無事な生涯でも送ったかのように装っている。
ぬかるみを飛び越え、石ころを蹴散らし、往来どめの縄を擦り抜け、五味ための
箱を引っくり返し、振り向きもせずに逃げ続けました。
内供は、こう云う時には、鏡を
箱へしまいながら、今更のようにため息をついて、不承不承にまた元の経机へ、観音経をよみに帰るのである。
保吉は内心凱歌を挙げながら、大型のマツチを一
箱買つた。