お米と十吉とは南
向きの縁に仲よく肩をならべて、なんにも言わずに碧い空をうっとりと見あげていた。
西風が強いかして、傾斜の土に疎ら生えしている、丈の短い唐松や、富士薊が、東に向いて俯
向きに手を突いている。
みごとにまた右門得意の肩すかしに出会って、伝六はちぇッと舌を鳴らしながらそっぽを
向きましたが、反対に右門はおおまじめでありました。
閑な線で、発車するまでの間を、車掌がその辺の子供と巫山戯ていたり、ポールの
向きを変えるのに子供達が引張らせてもらったりなどしている。
また私に対して負債をしておられる
向きもあって、その高は相当の額に達しています。
その中の一人、——縞のシヤツを着てゐる男は、俯
向きにトロツコを押した儘、思つた通り快い返事をした。
葉子は今まで急ぎ気味であった歩みをぴったり止めてしまって、落ち付いた顔で、車夫のほうに
向きなおった。
ちょっとでもじっとしていられない葉子は、日本で着ようとは思わなかったので、西洋
向きに注文した華手すぎるような綿入れに手を通しながら、とつ追いつ考えた。
この頃は自分の年恰好から、自然上品
向きのお客さんのお相手をすることが多くなったから。