時に履物の音高く家に入来るものあるにぞ、お貞は少し慌だしく、急に其方を見
向ける時、表の戸をがたりとあけて、濡手拭をぶら提げつつ、衝と入りたる少年あり。
まをすとは、上の者が理会をして呉れる様に、為
向ける事であり、又衷情を訴へて、上の者に、理会と同情とをして貰ひ、自分の願ひを、相手に容れて貰ふ事である。
それには先ず液体について、疑問の矢を
向けるべきであろう。
けれども房枝は、直ぐに「青蘭」の二階の気配に気づいてか、キッと敵意のこもった顔をこちらへ
向けると、そそくさと立上って窓の硝子戸をぴしゃりと締めてしまった。
——ルナアルは「機微な問題」に眼を
向ける人である。
何小二が鞍の前輪へつっぷすが早いか、一声高く嘶いて、鼻づらを急に空へ
向けると、忽ち敵味方のごったになった中をつきぬけて、満目の高粱畑をまっしぐらに走り出した。
彼らはいわゆる社会運動家、社会学者の動く所には猜疑の眼を
向ける。
謹んで承たまわるに、帯は蜻蛉に結んでそしてその輪の方を左に
向けるのだとのこと。
またはこの書によって信者になりて、キリスト教的文士となりて、その攻撃の鉾を著者なる私に
向ける人もあります。