暫くするとお姫様が、蒔絵のお
吸物膳にお
吸物椀を載せ、すーツと小笠原流の目八分に持て出て来ました。
刺身、酢の物などは、もってのほかのことであり、お
吸物の中に柚子の一端、青物の一切が落としてあっても食べられない。
おしやますとはどんなところから名が出たのか知らぬが、おしやますの
吸物といえば、珍饌中の珍饌に数えられてある。
ある者は獲物のはまぐりの砂を吐かせる間もなしに直ぐに
吸物にして味わうのもあった。
Hはちよいと顔をしかめながら、屠蘇の盃へ口をあてて、それから
吸物の椀を持つた儘、※々としてその下足札の因縁を辯じ出した。