けれど、現在世の中にあるおいしい酒というのはすべて
味わい尽くしたから、この頃では昔上方にあったという『富士見酒』の味を想像して、舌に唾液をからませている。
気分劇 舞台にある特殊な生活雰囲気をかもし出し、その気分的な
味わいを生命とするもの。
それらの芸術をいかに深くきわめていても、それだけで演劇はつくり出せないし、また、
味わいつくせるものでもないのである。
竿も仕掛けも極めて軽く、そして繊細に作れば一層この釣りの妙所を
味わい得る。
読者諸君が、さようになやんでいるのを、作者は意地わるい微笑をうかべて、悪魔じみた楽しさを只一人
味わいたいつもりではない。
お蔭で私には初めて少し「つけあい」というものの
味わいが分った。
道中半ばに駕籠をとめて釣を催すなぞは、先ず十万石位の
味わいじゃ。
この意味においては、書物とは見ざるを見、味わわざるを
味わい、研めざるを知得するためにあるものである。
この心もちのために、この慰安と寂寥とを
味わいうるがために、自分は何よりも大川の水を愛するのである。
私は反語とか諷刺とかの片鱗をもって論述を
味わいつける、大家にも普通なレトリックさえけっして用いなかったのである。