以前幾たびか上下したが、その後は
多年麓も見舞わぬ、倶利伽羅峠を、というに過ぎぬ。
実をいえば、彼は
多年の威力を恃んで、ひそかに謀叛を企てていたのであった。
しかも今のあなたはさのみ偉い人でもない、単に一個の白面(若く未熟なこと)書生に過ぎませんから、今こそ初めて
多年の恨みを報いることが出来たのです」
多年近所に住んでいるので、お北もお勝も子供のときから彼を識っていた。
橋番は
多年の経験で、その水音が何であるかを知っていた。
かれは道具屋の惣八という男で、掛物や色紙短冊も
多年取りあつかっている商売上の関係から、ここの家の門を度々くぐっているのであった。
顔は嶽風と雪焼けで真っ黒に荒れ、頬は
多年の苦労にげっそりと削けている。
けれど君、
多年の苦闘に疲れ果てた、あの老体を見ては、厭だと言うて振り切ることが出来るか』
私は
多年心掛けて君に呈したいと思っていたその山上生活の記念を漸く今纏めることが出来た。