「
夜分でしたから、あなたは、向って左手に墓地のあるのを見なかったかも知れませんが、その子守唄はその墓地の下から聞えてくるのです」
ある真言寺の小僧が、
夜分墓原を通りますと、樹と樹との間に白いものがかかって、ふらふらと動いていた。
もっとも水面をこうやって航行するのは、きまって
夜分だけです。
私が一番最初に通った儒学者は市村水香先生で、その市村先生のところへは
夜分漢学の素読やお講義を聴きに参りました。
モデルをあまり使わない私は、
夜分など壁へ自分の影を映してそれを参考にしてポーズをとるのです。
私はそれ以来
夜分はいっさい筆を執らないことにしている。
元来この倶楽部は
夜分人の集っていることは少ないので、ストーブの煙は平常も昼間ばかり立ちのぼっているのである。
船の運動は人の力ばかりでやるよりは、汐の力を利用した方が可い、だから
夜分も随分船のゆききはある。