芝居や小説の
大衆性とは、かゝる「大衆の心」に愬へるものであつて、現代日本の文化水準を考へたならば、今日の大衆の心が何に向つてゐるかを考へることは容易である。
「
大衆性」といふ言葉に、「広さ」以外何か、「低さ」の感じをもたせることが、今日、演劇の前途を暗くしてゐるのである。
大衆性も結構であるが、日本の大衆は、現在、「芸術」を求めてをらぬし、また求めるやうな気運も動いてゐないからしかたがない。
『朝日ににほふ』の歌は、その中の近風の歌に屬するもので、一般の人々に分かりよい、
大衆性を餘計に持つて居るものである。
其
大衆性の故でなく、大衆の間にもつと正しい判斷が抱懷せられてゐることを、どいるが最夙くに示してゐたのであつた。