山を崩して、其の峯を余した状に、昔の城趾の天
守だけ残つたのが、翼を拡げて、鷲が中空に翔るか、と雲を破つて胸毛が白い。
「恰度僕が留
守だったので後程伺うと云い置いて帰ったそうだよ」
しかもその二人の看
守の中の一人というのが、すこぶるしっかり者で、謹厳そのもののような老看
守だ。
それから——無住ではない、住職の和尚は、斎稼ぎに出て留
守だった——その寺へ伴われ、庫裡から、ここに准胝観世音の御堂に詣でた。
主人は近所の工場か何かへ勤めに行った留
守だったと見え、造作の悪い家の中には赤児に乳房を含ませた細君、——彼の妹のほかに人かげはなかった。
秀林院様(細川越中
守忠興の夫人、秀林院殿華屋宗玉大姉はその法諡なり)のお果てなされ候次第のこと。
北八を顧みて、日曜でないから留
守だけれども、氣の利いた小間使が居るぜ、一寸寄つて茶を呑まうかと笑ふ。
「いま君が聞いたとおりサ、留
守だと言って帰したのだ。
まだ、春のはじめのころから、父は煙草を売り捌きに、クリミヤ地方へ出向いてゐて留
守だつた。