而して身も霊も顫へながらなほ新しい
官能の刺戟を求めたかの時のみづみづしい心をあちらこちらと拾ふてあるくのが何時となしに私の習慣となつた。
知られざる天才は知られざる傑作を書く必要がありますが、先生は知られざる傑作を書く情熱や野心よりも、知られざる
官能の満足が人生の目的のやうだ。
夫人が急に顔を近付けると、彼女のふくよかな乳房と真赤な襦袢との狭い隙間から、ムッと咽ぶような
官能的な香気が、たち昇ってくるのだった。
——立騷いだ後の和やかに沈んだ
官能(耳)が一層澄んでそのさわやかな雨滴の音が頭の底まで泌みるやうな冷快な感じがして來た。
一、或人の如きは此の如き詩を嗤ひて甚しき跨張と云ひ、架空なる空想を歌ふものと做せども、予が幻覚には自ら真に感じたる
官能の根抵あり。
温泉といふものは
官能的にも固より愉快なものだが、更に繪畫の標準に換算しても亦面白いものでなければならぬ。
ただ徳田秋声氏や葛西善蔵氏の作品には、
官能的にも思想的にも、西洋人にかぶれたと云ふ痕跡が少い。
寂しい生活をしてゐると、
官能が鋭敏で鈍麻はしない。