兎に角私は、自分の拵へる本は矢張自分で拵へて、多少趣味とか、自分の好みとか云ふ物を入れたいと思ふ故、ついつい画
家の方へ、無理な事を願つたことが多かつた。
茲に於て自分は感じた、地獄極樂は決して宗教
家の方便ではない、實際我等の此の世界に現存して居るものである、と。
春秋の彼岸にはお寺よりも此人の
家の方が、餅を澤山貰ふといふ事で、其代り又、何處の婚禮にも葬式にも、此人の招ばれて行かぬ事はなかつた。
彼がしかしすぐに顔を前に戻して、眼ざしている
家の方を見やりながら歩みを早めたのはむろんのことだった。
銀行へ行くことも止め、他の会社に人を訪ねることも止め、用達をそこそこに切揚げて、車はそのまま根岸の
家の方へ走らせることにした。
そしてぼくが門を出たら、しばらくぼくを見ていたが、すぐ変な鳴き声を立てながら
家の方に帰っていってしまった。
こんなことに眼をとめながら、私は短い土手道を
家の方へと馬を進めた。