しかしそれよりもやり切れなかったのは全然火の気と云うもののない控室の中の
寒さだった。
何でも朝から雨の降り出した、
寒さの厳しい午後だったが、千枝子は久しぶりに鎌倉へ、遊びに行って来ると云い出した。
それは室内に漂う
寒さと戦いつづけている証拠だった。
その代りに十二三の乞食が一人、二階の窓を見上げながら、
寒そうに立っている姿が見えた。
すると友人の批評家が、あすこの赤い柱の下に、電車を待っている人々の
寒むそうな姿を一瞥すると、急に身ぶるいを一つして、
夕冷えのする京都は、もう火桶が欲しいほどの
寒さである。
丁度三月の下旬で、もうそろそろ清水の一重桜が咲きそうな——と云っても、まだ霙まじりの雨がふる、ある
寒さのきびしい夜の事である。
夕冷えのする京都は、もう火桶が欲しい程の
寒さである。
)その代り、生れた時から、あの通り
寒むさうな赤鼻と、形ばかりの口髭とを、朱雀大路の衢風に、吹かせてゐたと云ふ気がする。
自分は幾度となく、霧の多い十一月の夜に、暗い水の空を
寒むそうに鳴く、千鳥の声を聞いた。