ところが五郎兵衛はそのとき私事に悩んでをつて、
居所さへ定かならず、一世一代の腕の見せ場所で、時を失し、機を失した。
だが妙なことに彼は自分の
居所を決して教えようとはしなかった。
父の代に大久保百人町に越して来てから、私が、最近、西荻窪に自分の家を建てるまで、凡そ二十七八年間、私自身は殆ど年に一回平均
居所を変へてゐる。
所が、昌幸は、上田は信玄以来真田の
居所であり、何にも徳川から貰う筋合はない。
古語に居は気を移すとあるが、
居所に依つて気分の異なるは事実である。
ところが五郎兵衛はそのとき私事に悩んでおって、
居所さえ定かならず、一世一代の腕の見せ場所で、時を失し、機を失した。
門は例の通り開つ放しだから敲く世話も入ず、二人はずん/\と内へ入つて見たが草木が縱横に茂つて居るのでラクダルの
居所も一寸知れなかつた。