小初は腰の
左手を上へ挙げて、額に翳している右の腕に添え、眩しくないよう眼庇しを深くして、今更のように文化の燎原に立ち昇る晩夏の陽炎を見入って、深い溜息をした。
課長は大湯呑を
左手に移し、右手の太い指を延ばして帳簿の天頂から長くはみ出している仕切紙をたよりにして帳簿のまん中ほどをぽんと開いた。
「今日は、ちっともいいのが来ないわ」と松山の
左手に坐っていた川丘みどりが、真紅に濡れているような唇をギュッと曲げて慨いた。
左手を腰の上に、背を丸く曲げると、右手で入口の扉の鍵をカタリとねじって、
その本堂の
左手から登ってゆくと、うしろの山に氷川明神の社がありました。
一面にたたえた水をへだてて、対岸に霞沢岳、
左手に岩ばかりの穂高の頭が雲の中に出ている。
二つばかりトンネルをくぐって、いよいよ
左手の谷に下りることとなった。
而して予が否と答ふるや、彼女は
左手を垂れて左の趾を握り、右手を挙げて均衡を保ちつつ、隻脚にて立つ事、是を久うしたりき。
改札はこの二人の乗客を苦々しげに見やりながら、
左手を延ばして待っていた。